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第28回千葉内視鏡外科研究会開催にあたって
『前進する内視鏡外科:Move Forward!』
第28回千葉内視鏡外科研究会 当番世話人
東邦大学医療センター佐倉病院 副院長・泌尿器科教授
鈴木啓悦
このたび、歴史ある第28回千葉内視鏡外科研究会を三井ガーデンホテル千葉にて開催させて頂くにあたり、ご挨拶申し上げます。これまでの本研究会の歴史の中で、泌尿器科が担当させて頂くのは、千葉大学の市川智彦教授が開催されて以来2回目となります。その意味でも非常に光栄に存じますとともに、関係者の皆様に心から感謝申し上げます。
泌尿器科領域における内視鏡外科の歴史を紐解きますと、内視鏡の歴史は1806年にBozziniがローソクの光と反射鏡を用いて子宮や尿道を観察したところから始まるとされます。その後、デジタル画像技術など様々な技術革新により、現在の泌尿器科領域の手術のほとんどは内視鏡下に行われております。
一方、腹腔鏡下手術に関しては、泌尿器科領域での歴史は比較的浅く、1976年のCortesiによる腹腔内停留精巣の確認が最初とされます。1990年代からは泌尿器科領域でも腹腔鏡下手術が積極的に行われるようになり、特に腹腔鏡下副腎摘除術は日本の泌尿器科医が開発した手術です。腹腔鏡下手術の導入が遅れた泌尿器科領域ですが、ロボット支援手術の導入は早く、わが国でも2012年4月に他の手術に先駆けて、ロボット支援前立腺全摘除術が保険承認されました。その後、ロボット支援手術は様々な領域へと広がりをみせている事はご存知の通りです。最近では国産のhinotori
TM
が神戸大学と企業との産学共同で誕生するなど、新たなロボット支援手術の時代へと進んでいます。
ロボット支援手術の進歩は目覚ましく、泌尿器科では専門医を取得する前の後期研修医がコンソール時間2時間程度で、ほとんど出血もなく前立腺摘除術を行っています。ただ我が国の保険制度における外科手術の診療報酬は十分とは言えず、ロボット支援手術の普及は必ずしも病院経営に結び付かないといった負の側面があるのも事実です。
今回の開催にあたりまして、昨今の物価上昇への対応の意味でも、共催セミナーを2つ設けさせて頂きました。現在の癌治療では、外科治療は薬物療法などとしばしば併用され、集学的治療の流れもあろうかと存じます。前立腺癌と腎癌に関して、集学的治療における内視鏡外科をテーマにそれぞれ30分づつの講演をお願いしました。ご専門の先生だけでなく、他領域の先生にも泌尿器領域の集学的治療について聴いていただけますと幸いです。もしご興味のない場合には、是非お隣のお部屋にあります、内視鏡外科に関わりのある機器メーカーさんの展示ブースに足をお運びください。お菓子とお飲み物での休息も可能です。
最後になりますが、外科治療を含めて医療は進化を続けており、常に次世代に向けた過渡期にあると言えます。これまでの手術術式や成績について振り返りながら、さらに未来に向かって前に進んでいく機会となればと思い、今回の研究会のテーマは『前進する内視鏡外科:Move Forward!』とさせていただきました。幸い多くの領域の内視鏡外科のエキスパートが集まる研究会です。会場にて多くの議論が交わされ、お互い学び合うような場となることを期待しております。当日は多くの先生方にお会いできます事、医局員一同楽しみにお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。